白竜戦争の記録
Calendar
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< August 2018 >>
NewEntry
Profile
Category
Archives
Comment
Search
Link

Favorite
素材満載 ブログで作る かんたんホームページ [CD-ROM付き]
Mobile
qrcode
Sponsored Links
<< 第12章<上> Red Cliff main 第12章 <下> Party Night >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています



2009.06.29 Monday 
- -
第12章<中> Last Dance

「歴史的瞬間だ!」

そう言っていたのは、誰だったか。
難攻不落を誇った傭兵砦を今までにない長時間占拠した匪賊と商人達は勝利に沸いていた。
もちろん、犠牲がゼロだったわけじゃない。
あたしも何度か傭兵の反撃で転がっては、拠点にいるサポート要員に迎えゲートを出してもらい、急いで着替えては戦線に復帰している。

それにしても―――

「アリエルさんよ、あんたの荷物回収しておいたぜ」

ついこの前、あたしをしとめたネクロ使いの旦那が
そう言ってバッグを差し出したかと思えば

「回復呪文ありがとう」

と、まぶしそうな笑顔で礼が返ったり。
相手は確か一本釣りでひっかけて殺した奴だったような…。

(調子狂うよねえ、こういうの)

今まで敵として戦ってきた相手との共闘ってのは何とも言えない面映ゆさがある。
もっともそれ言ったら、憎いわけでもなんでもない相手と今命がけで戦ってる―――この戦争自体がどうなんだって話なんだけどさ。

それにしても傭兵達はしぶとかった。
何度も何度も諦めずに突っ込んでくる。

そのたびに各人が思い思いに迎撃に飛び出していき

「あまり砦から離れ過ぎるな」
「陽動の可能性があります」
「ここで分断されたらおしまいだぞ!」

何人もが。
そう警告したのに。

やはり、統率力の差なのか。
ちゃんとした指揮命令系統の構築されてなかったことが―――命取りとなった。

ばらけていた味方が一人減り、二人減り、落とされていく中。
あたし自身も傭兵達の一隊に襲われ、何度目かの戦死を遂げた。

戦場へ復帰したとき―――一砦へなだれこむ敵の数を見、さすがにあたしも最後の勝機が潰えたことを悟らざるを得なかった。

怒りや悔しさは不思議と湧いてこない。

負けを認めた時にこそ、人となりはその振る舞いに出るとも言う。

運命を呪う?
地に膝をつく?
己の弱さや愚かさを嘆く?

―――どれも、御免だ。

あたしは。
水辺へ走り、船へと飛び乗った。


潮風を胸一杯に吸い込み、船首に足を踏ん張って立つ。

―――ああ、これでやっと…

     船で戦える。海賊として終われるんだ。

依然、陸の上で死闘を続けてた他の匪賊や商人たちには申し訳ないけど
あたしはこの時―――安堵すらしていた。

     権利書がなんだ。
     白竜の心臓がなんだ。

     あたしはいつだって――
     あたしらしくあるために戦ってきたんじゃないか。

船が、一直線に傭兵砦へ突っ込んでいく。
くしくもそれは――――開戦の日と同じ光景。
砦を埋め尽くす傭兵たち相手に存分にやりあえる 、それがただ嬉しくて。

口上は自然に口をついて出た。

「あたしは、海の悪魔アリエル!
 さあ、ラストダンスのお相手は誰だい!?」




白竜戦争――――
のちに伝えられたところによると
傭兵の165枚、商人の106枚に対し
匪賊の手元に残った権利書はわずか78枚。

誰が見ても文句なしの大敗だったわけだが

『なめられる戦いだけはするな。
 すべてが終わったその時――
 匪賊こそ最悪の敵であったと言わしめるのだ!


盟主の言葉を胸に。
どんなに戦況が不利な時であろうと
生産要員までもが戦場を駆け、他拠点へ攻めこみ続けた匪賊を
臆病と謗る声は皆無であったという―――



2009.06.29 Monday 00:34
南十字海賊団副長AriElleの手記 comments(0)
スポンサーサイト


2009.06.29 Monday 00:34
- -
comment




/PAGES